フィリピン医療を支える会 ハローアルソン!(外部サイト)
現在、私たちが生きるこの地球には、約70億人の人たちが生活しているといわれています。
その中の5人に1人、約13億人が、1日わずか100円で生活する「極貧層」と呼ばれる人たちです。
私達、日本人のように、医療や教育を受けられ、安全な水を飲み、爆弾の音に怯えることなく生活できる人たちは、世界でわずか10%しかいません。
その10%の私達は、残り90%の国に資源や食料を依存して生きているのです。
私達の会は、この世界の現状から「貧困問題は全地球人共通の問題」と考え、歯科医療を通じ「恵まれない子供達に笑顔を」を合言葉に現地に出向き、心の通った文化交流をすることで、生活レベルの向上や、国境を越えた温かい医療活動を目指しております。
現地で多い治療は、歯を抜く抜歯になるのですが、中でも10歳~12歳の子供の永久歯の抜歯が多いのが現状です。お子さんのいる方は、お分かりだと思いますが10歳というと、乳歯と永久歯の生え換わりの時期です。
最初に診察に来たフィリピンの子どもたちの口を開けてもらうと、左下の奥歯が生えていくらもたたないのに虫歯になっていて、しかも痛いということでした。
もちろん日本でなら簡単に治せる歯ですし、もう二度と生え換わることのない大切な、一生使わなければならない歯です。
どんなに大きな虫歯であっても、根っこの治療をして、「また来週来て下さい」、「痛かったら明日でもいいです」などと言って治療するのが普通です。
しかし、フィリピンのスラム街の人たちですから、私たちの医療ボランティアを逃すと、もう二度と治療をしてもらえるチャンスがないわけです。
ですから、最低も、最高もなく、目の前に来た患者さんを一回で痛みから解放するために歯を抜く治療を選択せざるを得ません。
日本では、このような大切な永久歯を抜くことは考えられません。
けれどもフィリピンでは、特に貧困層の多いところでは、慢性的に栄養状態が悪く、免疫力が低いために虫歯の細菌が全身にまわって死んでしまう子供もいます。ですから、その様なリスクから救ってあげるためにも、抜歯が中心の歯科治療になってしまいます。
私達の会では、医療関係者だけではなく、薬剤師、保育士、教員、会社員など、どなたでも参加をすることが出来ます。その中でも特徴的なのが、高校生の参加です。何不自由なく生活が出来る環境で育ち、教育も医療も、食べることさえも全てに満たされた彼たち高校生が、劣悪な環境で必死に生きる同世代の子供達と出会い、世界の現実を目の当たりにした彼らは何を感じ、何を考えるでしょうか。十代という最も多感でこれからの将来を真剣に考える大切な時期に、フィリピンの恵まれない子供達との出会いは大きな経験になると思います。
高校生達が実際にできる現地での活動は、大変限られております。みなさまから預かった歯ブラシ、石けんなどの支援物資の梱包、配布等を行ってくれます。
もちろん、医療活動はできませんが、先生の手元を懐中電灯で照らしたり、患者の頭を押さえたり、時には不安げにおびえている子供たちの手を握ったり・・・何もできない自分を知り、その中で何ができるかを真剣に考えます。
私達日本人は当たり前に生活ができることに対し、何も疑問を持たず、その当たり前の素晴らしさに気づくことも感じることもなく毎日を生きているのではないでしょうか。私達は今、何不自由なく生活をすることが出来ます。
しかし、現在の日本は、全ての物が溢れ、物質的豊かさが向上する一方、年間3万人を超える自殺者を出す国へと変化していきました。「豊かさ」とは何でしょうか。利便性、効率性を追求し、不自由のない社会が当たり前と感じたとき、私達はもうーつの大切な「心の豊かさ」を失っていきます。
一方、私たちが訪れているフィリピンの貧困層の住む地域では、貧困のため、慢性的栄養失調や感染症、その他の理由で15歳まで生きることができる子供は3人に1人しかいません。その理由のほとんどが日本では治せるはずの病気なのです。
私たちがフィリピンで応援している国籍やお金のない小さな子供たちの夢が「15歳まで生きること・・・」
私達は、世界の貧困問題を通じ、訪れた先の「何もない現実」から「私達が失った何か」を考え学んでおります。
「できる人」が目の前にいる「できない人」を助ける。そのことには、人種や国境はないのだと思います。
そして、その「できる人」がこれからの日本人に求められている役割なのだと思います。
この活動へのみなさんのご協力のほどよろしくお願いいたします。
私たちは、この会への支援活動と物資の募集を随時行っております。
物資のひとつひとつが、愛の架橋となります。
貧困のため、今日食べることが出来ない子供達に、お口の中を守る大切な道具「歯ブラシ」を買う事はできません。歯ブラシ1本が、お米2kgと同じ価値があるからです。
皆さんのお家で眠っているものや、旅館やホテルなどの歯ブラシを、皆さんにご協力いただき、物資として支援します。
また、劣悪な環境で生きる子供達の衛生面は、非常に悪いにもかかわらず、現地ではとても高価なタオルや固形石鹸は、なかなか購入することは出来ません。
お近くの支部(ホームページに掲載)までお持ち頂くか、送料元払いでご送付ください。
義援金は、一緒にボランティアに参加する高校生のカンパになります。また、義援金の一部は、現地で支援物資としてお米の購入に充てられます。
私が、このボランティアに参加した理由の一つには、この活動を通し自分が生きてきた人生の中で初めて「自分を自分で褒めてあげることができる」ような気がしたからです。
私は今まで医療に携わるものとして恥ずかしながら、人の評価ばかりを気にしてきました。人との比較や数字ばかりを気にして生きてきました。
人を思いやる態度や技術を提供してきましたが、自分の利益の延長上にあった「思いやり」に過ぎなかったのかもしれません。
歯科医師という素晴らしい職業に就きながら日々「人間力」を落としていっていたのかもしれません。
そんな私は混沌とした毎日を過ごし、暗闇の中、先が見えない人生の恐怖に怖くなり色々な歯科セミナーなどに参加することで自分の目先だけを照らし、ごまかしの日々を送っておりました。
そんなときにある歯科衛生士雑誌で偶然にも見かけたこのボランティア活動の記事に私は、明るい未来へ続く一筋の光を見たような気がしました。
そして実際に参加することができたハローアルソンフィリピン医療を支える会の活動。その子の人生で最初で最後かもしれない歯科医療がいきなりの抜歯。
恐怖に思わず手が出てしまいそうになる自分の右手を反対の左手で押さえながら、涙を流しながらも口を開け続けるフィリピンの子供たち・・・日本の歯科医療現場では見ることができない光景が私の目の前には広がっておりました。
実際にこのボランティア活動に参加し、文章では書き表せないぐらいの衝撃と感動を受け、多くの方々からの笑顔をもらえたと思います。
ボランティア活動は一方的に与えるだけでは続かない、半分与え、半分受ける、私は歯科医療を提供し、みなさんからはいっぱいの笑顔と明日へのエネルギーをいただいたと思います。
来年は、今回一緒に参加した高校生ボランティアとフィリピンの子供たちの前でマジックショーを行う約束をし、再会を誓い合うこともできました。
ユーモアと笑顔は世界共通の最高のコミニケーションツールだと思います。
これからもこの活動の素晴らしさを周りの人たちへと伝え、この会を盛り上げてゆくお手伝いができれば幸いに思います。この会の主催である林先生には、歯科医療、ボランティア活動、日本人の哲学・思想を通じ様々な「教え」をいただきました。深く感謝いたします。この活動終え、日本に帰国してから読んだ東洋思想に関する書籍の中からの一節を最後に紹介させていただきます。
大切なのは、自分に授かった
生命力と活力を発電機(ダイナモ)にすることだ。
自分に授かった生命力と活力で
自家発電することだ。
他に求めず、自家発電する活力は
家族を元気づけるよ。
それが村全体に広がる。
それが国全体に広がる。
そのようにして
全世界がおさまってゆく
それが本当の道の在り方なんだよ。
恐怖心を抱く原因となる、治療の音、痛み、そして独特の病院の雰囲気・・・。
市民の歯への意識が高まる中で、こうした不安要素をなくし、快適な治療を提供する歯科医院の取り組みを紹介。
平成18年9月1日(金)放送、映像協力:テレビ新潟