ドライマウス

ドライマウス

ドライマウスとは、さまざまな原因によって口の中がいつも乾燥」した状態を言います。

口の中は唾液によって、しめった状態が保たれています。
が、なんらかの原因で唾液の減少が起きますと、口の中のうるおいがなくなり、乾燥状態になります。長い間乾燥状態が続きますと口腔乾燥症(ドライマウス)という「病態」になりさまざまな症状や機能の障害が起こることになります。

実は、唾液は1日にどのくらいの量が出ているかと言いますと1.5リットルぐらい、唾液腺という袋状の器官から出ています。具体的な唾液腺の場所は頬の内側で上の奥歯の横あたりに左右1個ずつと、舌の下の根元辺りにある小さな穴から唾液量の殆どが出てきます。

口腔乾燥症の原因を具体的に申し上げますと、高齢による唾液分泌低下・癌の放射線治療による唾液腺萎縮・シェ‐グレン症候群・薬剤服用(抗ヒスタミン剤、降圧剤、向精神剤、利尿剤、睡眠薬など)・自律神経失調症・心因性の神経症と鬱病等があります。

ドライマウス(口腔乾燥症)によって口の中でおこりえる「症状」は、口臭がでやすい、口内炎ができ易い、歯周病がなかなか良くならない、パンなど乾燥した食べ物をなかなか飲み込めない、歯に着色物が付きやすい等が考えられます。

介護を必要とする高齢者の場合、ドライマウスが強くなる傾向が多く、上あご、舌の上に汚物・痰などの分泌物がこびり付いたままになっていたり、歯の間や歯と頬の間に食物のカスが溜まったままになっている事が多く、「誤嚥性肺炎」の原因にもなります。

ではドライマウス(口腔乾燥症)の治療及び対策は、全身疾患(糖尿病、自律神経失調症)の治療・口腔清掃や口腔の湿潤に心がける事・人工唾液、水等で口の中を潤わせる・口唇や口角部を潤わせるためにリップクリーム塗布やグリセリン塗布する・生活指導(唾液分泌は自律神経によって支配されていますのでストレス等で自律神経系に影響をおよぼします)などがあります。
唾液の分泌が減少してしまうとドライマウスを引き起こしますので、高齢者の場合、日常からストレスがかからないように気持ちにゆとりを持つことが大切です。
食後は特に口腔ケアをし、入れ歯が入っていれば必ずはずして清掃してください。

ドライマウスは充分な理解と対策・治療を講じれば対応できるものです。特に高齢者を介護されている方は充分に口腔内を観察しQOL(生活の質)を高めていきましょう。

「歯ぎしり・くいしばり」していませんか?

「歯ぎしり・くいしばり」していませんか?

歯の咬み合う面が擦れて削れた状態を【咬耗】と言います。
一般に【咬耗】は正常な歯を持ち正常な咬み合わせを持っている方ならば、長期にわたって自然に生じてくるものです。

ですので、中高年の大抵の方は【咬耗】のある歯を持っています。
これを「生理的咬耗」と言います。

しかし最近、年齢に似合わない【咬耗】のある若い患者さんを多く見かけるようになりました。
長年培うように生じた【咬耗】は、基本的に問題ではありませんが、急に生じた場合や若年者においては放置できない問題となります。

 さて、【咬耗】はどの様にして生じるのでしょう?。
それは、食事の際に生じるのではなく就寝中や緊張しているとき集中しているときなど無意識下で生じます。いわゆる「歯ぎしり・くいしばり」によって生じます。
この「歯ぎしり・くいしばり」を正しくは‘ブラキシズム’と言います。

‘ブラキシズム’には大きく3つの種類があります。

1)グラインディング
  
上下の歯を咬み合わせたまま左右に横滑りさせて「ギリギリ」と音を立て擦り合わせます。
  
いわゆる「歯ぎしり」です。
  
患者さんの約20%以下ではありますが、治療を行う上で大きなリスクを伴います。
  
そして、ご本人が気づいていない点が、ブラキシズムをしている方の治療の困難さを理解しにくい原因となっています。

2)タッピング
  
まるで物を食べているかのように上下の歯を打ち合わせ「カチカチ」と音を立てます。

3)クレンチング
  
上下の歯を咬み合わしたまま食いしばります。いわゆる「くいしばり」です。
  あまり音は出ませんので、気づきづらい「隠れ原因」です!

‘ブラキシズム’による【咬耗】は病的なものです。

【咬耗】は、歯の種類や質、歯の生えてくる位置、咬み合わせのバランスの異常、咬み癖、咬む力とその時間の長さ、生活環境や食生活、年齢、性別、かみ癖、ストレス、心因的問題など、様々な因子が関与するものなので、その程度にはかなり個人差があります。

‘ブラキシズム’が原因となって引き起こされるお口の中の症状は、歯の揺れ、歯の早期接触、歯の異常なすり減り、歯の破折、歯が浮いた感じや違和感、歯の痛み、歯がしみる知覚過敏、口唇・頬粘膜・舌などへの波状のあと、歯ぐきの違和感などがあります。
お口の中以外の症状としましては、頭痛、偏頭痛、肩こり、腰痛、顎関節の疼痛、開口障害、違和感雑音、咀嚼筋の疼痛、肥大、顎角項の張りのある形態(エラ)などが生じます。

‘ブラキシズム’の治療は未だ決定的なものはありません。しかし大切なことは、自分自身が‘ブラキシズム’をしているかどうかを「自覚する」ことです。それを軽減させるためのマウスピース療法や自己暗示療法、また、ストレスの少ない生活を送る努力も必要です。

特に神経質になる必要はありませんが、お口の中の状態が体に影響する事もありますので、歯科医院で相談してみるのもいかがでしょうか。

生きてる歯と死んでる歯

生きてる歯と死んでる歯

有髄(ゆうずい)歯(生活歯)と無髄(むずい)歯(失活歯) の違いってなあに?

歯が夜中になるとズキズキ痛み出したり、冷たい物や暖かい物を口に含むとズキズキと歯が痛みだす。こんな経験のある方も少なくないと思います。

この痛みは、歯のなかにある神経の仕業。虫歯などの原因で神経にばい菌が入り神経が炎症を起こしているのです。
冷たい物が少ししみているくらいではすると詰め物をするなどの処置で完治する事が多いのですが痛みがひどい場合、神経をとる治療(抜髄)という治療になります。

さて、歯の神経をとる事で痛みは取れますが、歯にはどんな変化が起きているのか皆さんご存知でしょうか?
歯の神経をとると・・・

 1)歯が脆くなります。
神経がなくなることで歯には血液の流れがなくなってしまうため、乾燥して脆くな ってしまいます。枯れ枝は簡単に折れますが、木に生えている枝はよくしなり折れづらいのと同じです。


2)歯の色が変色します。
徐々に歯がグレーっぽい色へと変化していきます。前歯では特にはっきりわかります。

3)歯の根っこの先に膿を持つことがあります。
神経をとった時の処置が不十分だったりその他の理由でおこることがあります。

歯の神経をとる事は、我々歯科医師は患者さんの痛みをとるための処置であり決して本位ではありません。神経があることが歯にとっては間違いなく良いことですし、歯の寿命も長くなります。

永久歯の中で喪失率(何らかの理由で抜歯しなければならなくなる)が一番高いのが6才臼歯(第一大臼歯)です。
このことから考えられるのは、やはり小児期の虫歯への早い対応と、予防が必要だという事が考えられます。また、歯の神経を守るには早期発見早期治療、虫歯にならない事が大切です。

痛くなる前の小さなうちにむし歯を発見できれば、神経を残し小さく白く「詰める」ことができます。しかし、痛くなってからくれば、むし歯は歯の中で大きくなっていますので、神経を取って差し歯にしなければならなくなったり、そうでなくても「銀歯」をはめなくてはならなくなります。

痛くなってから歯医者さんに行くのではなく、痛くならないように歯医者さんに通って歯を長持ちさせましょう!

歯は、「命の源」ですから (^_-)ネッ

 

『シーラント』って、何ですか?

来月6月4日は、【虫歯予防デー】ですね。
この日を含む1週間は【歯の衛生週間】です。

1年に一度のこの機会に、お口の中の点検をしてみては如何でしょう?。口の中の病気、虫歯、歯槽膿漏、歯石等が発見されるかもしれないですよ。(最低でも1年に1回はした方が良いと思います。なぜなら、痛くなる前にむし歯を発見できれば、あまり削らずに治せるからです!)

今回のお話は、【歯の衛生週間】に因んで、みなさんにあまり知られていない虫歯予防の話をしてします。
みなさんは、虫歯の予防は‘フッ素’が有効なことは知ってると思います。
今日はその話ではなく、シーラント』と呼ばれる予防治療のお話をしましょう。

奥歯には細かく深い溝があり、虫歯菌などのばい菌がたまりやすくなってしまいます。そのばい菌はなかなか自分では掃除しにくく、そのまま放っておくとすぐに虫歯になってしまいます。
特に子供の歯(乳歯)や生えてきたばかりの大人の歯(永久歯)は弱いので虫歯になりやすいのです。

そこで、溝の中をきれいに掃除をして再びばい菌が入らないように溝を埋めてやれば虫歯対策に役立ちます。これが、『シーラント』と呼ばれる物です。

歯を削ることは殆どしません。歯の溝をきれいに掃除をして、埋めるだけです。なので痛みもなく非常に簡単な処置です。
治療費も決して高価なものではありません。(16歳までですと健康保険で出来ます。)

‘フッ素’で歯全体を強くして溝の部分を『シーラント』をすれば虫歯予防の効果は言うまでもなく絶大です。
ただ、毎日の歯磨きを怠るとすぐに虫歯になってしまうのでやはり、油断は禁物です。

これを機会に、親子で、かかりつけの歯医者さんに行ってみてはいかがでしょうか?。 
お子さんは、『シーラント』、自分は健診に歯医者さんに通いましょう! 

メタルフリーとは?

メタルフリーとは?

【メタルフリー】とは、歯の治療を金属を使用せずに治療処置を行うことを言います。

今回のブログで敢えて取り上げる理由には、現代病ともいえる『金属アレルギー』が昨今増えつつあからです。

「人間を始めとする生き物は皆、本より微弱な電流を帯びている。」というのを皆さんもご存知の事と思います。

金属の歯が口の中に入っている場合、特に上下の相対する歯に入っている場合、口の中は唾液で濡れていますからその上下の歯の金属が接触した時に微弱な電流が流れることがあります。この電流は『金属のイオン化』によるものです。当然、唾液の中に金属イオンが流出します。

その金属イオンが体内に蓄積されていくと、“金属アレルギー”を発症する可能性が高まると言われています。特に上下の歯の金属の種類が違いますと『金属のイオン化』がより多くなります。“金属アレルギー”を発症した人は先ずは皮膚科へ行かれますが、その一部において「原因が歯にある。」と言われ歯科医院へ転院される方がいます。

私達歯科医師は、そのような患者さんが来院された際には金属の歯の種類を調べ、インフォームドコンセントの後、金属の歯をはずし高分子樹脂(光重合レジンとか硬質レジンなどと言われるもの)や陶剤(ポーセレンとかセラミックスなど言われているもの)といった‘金属ではない材質’で治療し直します。

今回の話題であります【メタルフリー】が注目されてきましたのは、医療で使用される材料は日進月歩進化を遂げ、奥歯でも充分に強度があり、より精度が高いメタルフリーの被せ物が出てきた為です。

最先端で注目を集めている技術をご紹介します。

それは、「コンピューターで歯の解析を行い、工作機械ロボットが歯の形を彫刻して、冠や充填物を製作する。」というほとんど人間の手を介さずに差し歯などが作る出されるシステムです。このシステムはCAD/CAMと言われています。

近い将来には【メタルフリー】が主流になることでしょう。

【メタルフリー】の長所は

1)金属アレルギーの人にも使用できる

2)金属より軽い

3)より天然歯に近い色になる

4)光を通すので明るく見える

【メタルフリー】の短所は

1)まだ健康保険に適用されていないので、費用が高い

2)多くの一般の歯科医院では、まだ行われていない

いろいろありますが昨今審美性が強く求められています。奥歯も白い歯を入れ大きく口をあけて笑いたいと思う人もいるでしょう。また白い歯を入れる事によってより積極的な人生をおくられる事もあるでしょう。いずれにしましても白い歯は皆が求めている事なのです。金属の歯で悩んでいる方は一度相談に来ていただければ幸いです。きっと良い方向性が見つかると思います。