噛む効率が、およそ半分に?

大人の歯は親知らず(智歯)を除いて28本生えていますが、最も噛む力が強い歯をご存知ですか?それは「第一大臼歯」で、小学校に入学した頃萌出してくる歯で、一般に六歳臼歯ともいわれる奥歯です。上下の噛み合わせの基準となる一番大事な歯ともいえます。

その第一大臼歯が無くなると、噛む効率はなんと半分程度まで落ちてしまいます。つまり歯は一本欠けてしまっただけでも全体の咀嚼効率が半減してしまいます。また、一本でも痛い歯があるとそこでは噛めないため、反対側の一方でばかり噛むようになり、そのうちあごまで痛くなってしまい、失った歯は一本でもその影響はとても大きいのです。

第一大臼歯は萌出直後は柔らかいためむし歯になりやすく、で噛み合わせの面に深い溝があり、さらに磨くのが難しい奥にあるため、保護者が仕上げ磨きをしたり、きちんと磨けているかチェックしてあげることが大切です。

私が、今年の2月に参加したフィリピン医療ボランティアでは、フィリピンの子供たちは「歯科予防」対する教育がほとんどないため、歯ブラシの使い方、歯の予防の方法も知らずにこの大切な第一大臼歯を12,3歳で抜かなければならない子供が多くいました。抜いた子たちは、残りの人生を第一大臼歯なしで生きていかなければなりません。

    

「健康」のためにも「教育」というものは重要であることを私は身をもって経験しました。
下の写真は、11歳のフィリピンの子供のむし歯の写真です。

歯に関する豆知識、ウソ!?ホント!~その2~

おやつは一度にたくさん食べるより小分けにして食べたほうが虫歯になりにくい。
→ウソ!                                               

小さいとき、お母さんに「そんなに沢山甘いものを食べたら虫歯になるよ!」と注意されたことはありませんか?しかし厳密には、食べる量ではなく、食べる回数が多い方が虫歯になる可能性が高くなります。どうしても食べたいときは、だらだらと食べ続けるのではなく、一度に食べて、食べた後には歯を磨きましょう。
1時間の間にアメ2個以上食べたときは最後にお水か、お茶を飲んでお口の中にできた歯を溶かす「酸」を洗い流すことが虫歯予防のコツです。

 

★世界で一番かかる人が多い病気は「歯周病」?
→ホント!

世界で一番患者が多い病気として、ギネスブックにも載っています。日本では成人の80%がかかっている生活習慣病の一つです。
また、歯周病は、歯を失う原因のNo,1です。
そして、痛みがあまりなく進んでゆく病気。気づいたときには歯がグラグラ動いて歯を抜くケースが多くなります。
歯周病を予防するためには、3か月に一度、予防のためのクリーニングが効果的です。

 

歯に関する豆知識、ウソ!?ホント! ~その1~

★唾液がないと味が感じられなくなる?
ホント!

食べ物の味は、舌の「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官に、食べ物の味を構成している物質がだ液に溶け込むことで届けられ、初めて感じることができます。唾液が少なくなると、食べ物の物質が味蕾に届かなくなってしまったり、舌と物がこすれて炎症を起こし、未蕾が働かなくなってしまうこともあります。唾液には自浄作用があり、むし歯予防にも効果的です。
また、一口20回以上噛むとだ液の中に若返りホルモン「パロチン」が出てくるため噛むことでアンチエイジングも期待できます!


あなたのお口は、だ液が少なくなっていませんか?ぜひ一度、お口の健康状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 
★歯は鉄よりも固い?
→ホント!

物の硬さを測る単位に「モース硬度」というものがあります。鉄がモース硬度4で歯のエナメル質が7です。このため歯を削るための道具はダイヤモンドの粉でできています。ただし、人の歯のエナメル質は不完全な結晶体で壊れやすく、酸やむし歯菌に侵されやすいのです。歯は、PH5.5よりも酸性になると溶け始めます。アメちゃんを食べたら、水を飲んでお口の中を中性に戻しましょう!

【身近な物のモース硬度】
モース硬度1:チョーク
モース硬度2:岩塩、純金
モース硬度3:珊瑚
モース硬度4:鉄、真珠
モース硬度5:ガラス
モース硬度6:オパール
モース硬度7:人間の歯、水晶
モース硬度8:エメラルド
モース硬度9:ルビー、サファイヤ
モース硬度10:ダイヤモンド 
        

健康づくりの拠点は歯科医院

虫歯と歯周病の発症は食生活習慣をはじめとする各種生活習慣の乱れに関係しますので、それらは生活習慣病の前兆の表れとなります。
歯科医師、歯科衛生士は、虫歯と歯周病の治療に止まらず、それらの発症の背景にある生活習慣の乱れを改善することができます。
超高齢化社会では、栄養・運動・休養の知識だけでは健康づくりはできません。それぞれに医療のサポートが必要となってきます。
栄養においては、「かむ」機能を支える歯科、運動においては関節運動を支える整形外科、休養・こころの健康においては心療内科や精神科が医療面で健康づくりの支援を行っております。



超高齢化社会では健康づくり運動と医療支援体制の確保は表裏一体なのです。
かつて二宮尊徳は、「道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は、寝言である」という言葉を残しました。
これにならえば、「歯科医療を忘れた健康づくりや保健指導は寝言にすぎない」のだと感じます。

新年明けまして、お得な情報をおひとつ!

みなさま、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
お年玉代わりにと言っては何ですが、みなさんが毎日行っている「歯磨き」についてのお得な情報をお伝えします。今日から実践してみてください。

朝の歯磨きっていつ磨いていますか?
朝起きてすぐですか?それとも朝食後?それとも磨かない?(;^_^A アセアセ・・・

夜はお口の中の細菌を殺菌する「だ液」がほとんど出ていません。ですので細菌は夜中にどんどん増え、朝の口の中は細菌でいっぱいです。
そのまま朝食を食べれば、食べ物と一緒に当然おなかの中へ…
でも、胃酸で死んじゃうのかな?
いえいえ、胃酸にも強い細菌は生き残って体に悪影響をおよぼします。

朝ご飯の前に歯を磨けば、夜に増えたいっぱいの細を体の中に入れることなく、さわやかに朝食が食べられます。
そして、朝ご飯の前に歯を磨く人の方が、そうではない人に比べてインフルエンザにかかりにくいという研究結果も出ているぐらいの効果があります。

でも、食べた後、食べ物などが歯に挟まって気持ち悪い。
そのまま出勤・通学はちょっと…
でも、朝に2回も 歯を磨くのはめんどくさい。という方へ。

そんなときには、 朝起きて、うがいをすることをおすすめします。(もちろん、マウスウォッシュOK)
うがいも、いきなりガラガラと強くやってはいけません。口の中の細菌が喉の奥に侵入してしまう可能性があります。
ですので、含んだ水を口の中だけで「くちゅくちゅぺっ」という程度で大丈夫です!
これでだいぶ細菌も流されます。その後朝食を食べて、歯磨きを行ってください。

ただ、食後20分は口の中が酸性に傾いていため、エナメル質が柔らかくなっているので、ゴシゴシ磨くと歯を削ってしまいます
この20分間で唾液が酸性から中性に中和させて、エナメル質を復活させているのです。
そんな朝に20分も待てないし!
やっぱり朝起きてすぐにはみがきがいいかな~?

朝起きて歯磨き。 そして朝食。そして、うがい。

時間的に余裕のある方は、 うがい → 朝食 → 20分待ってから→歯磨き

時間的に余裕のない方は、 歯磨き → 朝食→ うがい

というアイディアでいかがでしょうか!
早速新年からやってみましょう!