歯周病と全身の関わり~その2~

歯周病と関連があるとされている5つの症状について、今回は残りの2つを紹介します。

4.早期低体重児出産
妊娠中の女性で歯周病をわずらっている人は、そうでない人に比べて、低体重児出産や早産をする確率が高いことが報告されています。
妊娠中の女性は、つわりによって歯みがきなどの口腔清掃が不十分な状態になりやすく、結果として歯周病になりやすいのです。
そして、歯周病になってしまうと、炎症性物質がへその緒を通じて胎児に影響し、早期低体重児出産の確率が高まると考えられています。

5.認知症
認知症の一つである脳血管性認知症の原因は脳卒中。
脳卒中は動脈硬化が脳の血管で起こるものですから、歯周病を予防して動脈硬化のリスクを減らすことが認知症の予防につながります。
また、脳に萎縮が見られるアルツハイマー型認知症の人では健康な人に比べ、残っている歯の数が少ないことも分かっています。
歯周病を予防してよくかむことで、刺激が歯根膜から脳に伝わりアルツハイマー型認知症の予防につながると考えられています。

歯周病と全身の関わり

歯周病と関連があると言われている5つの症状
歯周病は、口の中の病気と単純にとらえるのが、かつては一般的な考え方でした。
しかし、研究が進み、実は歯や口だけでなく、全身の健康に深く関わっていることが明らかになってきています。
逆に、全身の状態が歯周病の状態を含め、口の中の健康に大きく影響することも報告されています。
ここでは、歯周病と関連があるとされている5つの症状について、その研究内容の概要を2回にわたってご紹介しましょう。まさに「論より証拠」です!

1.糖尿病
糖尿病は、インスリンという血糖を下げるホルモンが不足したり、うまく作用しなくなることで、常に血糖値が高い状態になってしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと、様々な合併症が起きやすいというリスクを抱えることになります。
歯周病は、そんな糖尿病の合併症の一つと見なされているのです。
糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて歯周病になる可能性が高いことや、歯周病の治療によって、歯ぐきの炎症が改善すると、インスリンが働きやすい状態になり、血糖値が改善する可能性があるということなどが報告されています。

2.心疾患
心疾患は、食生活や運動、ストレスなどの積み重ねが引き起こす生活習慣病の一つです。
歯周病の人は、歯周病でない人と比べて、心疾患を発症するリスクが高いことが明らかになっています。
また、歯周病が重症なほど、その発症リスクが高くなるともいわれています。
これは、歯周病によって歯ぐきで生産された炎症性物質が、血流を介して心臓の血管にも影響を及ぼすためだと考えられています。

3.誤嚥性肺炎
食事中、誤って食べ物が気管支に入ろうとすると、自然にむせたり咳が出たりまします。
これは、肺や気管を守ろうとする生理的な反応。
しかし、この機能が弱まると、自らの唾液や食べ物が誤って肺に入り、肺炎を起こしてしまいます。
これを誤嚥性肺炎と言い、その主な原因は、唾液中に含まれる細菌です。
歯周病の多くは、肺炎の原因ともなるので、歯周病の人ほど誤嚥性肺炎になるリスクが高いといえます。
高齢、認知症、脳血管障害、手術後など、食べ物をうまく飲み込めない人は特に注意が必要です。

 

「生きる」ことは「食べること」

日本の平均寿命がとうとう男女平均して80歳を超えました。喜ばしい反面、健康寿命との差が10年あるということを考えると、いかに老後を介護なく自立して生きるかが重要になってきます。 

「生きる」ことは「食べること」


そう考えますと、年をとればとるほど「歯」大切さは大きくなってきます。

「抜け始めてから分かる、歯と髪の毛は、なが~い友達」といったところでしょうか。

歯の大切さをあらためて考えてみたいと思います。

なぜなら、の役割は、生きる上で大切だから・・・

 

歯がなくなると・・・

・食べものが食べられなくなる
 
・栄養が吸収できなくなる
 
・成長できなくなる
 
・脳が元気にならない、記憶力が落ちる
 
・しゃべることができなくなる
 
・味が分かりにくくなる
 
・長生きができなくなる

まさに「歯は生きる源」なのだと思います。

 
来年の、ハローアルソンフィリピン歯科医療ボランティアには、現在40名の高校生が参加予定です。「真の豊かさ」や「生きる上での歯の大切さ」を参加する高校生に歯科医師としてしっかり伝えてきたいと思います。
未使用歯ブラシなど皆様からの支援物資のご協力のほどよろしくお願いいたします。

夜の間に口の中のバイ菌はどれぐらい増えるのか?

虫歯に関する新事実!
夜、お口のケアをしないと就寝中に虫歯菌(ミュータンス菌)数が約30倍に増加
~ライオン株式会社オーラルケア研究所が確認~

ライオン株式会社オーラルケア研究所では、夕食の後、就寝前までに歯磨剤やデンタルリンス等を使ったお口のケアをしないと、翌朝の起床時に虫歯の原因であるミュータンス菌が夕食後の約30倍にも増加し、就寝中に虫歯になりやすい状態になることを確認しました。



これまで、就寝中に口腔内の細菌数が増えることは調べられていましたが、虫歯の原因菌であるミュータンス菌については確認されていませんでした。
ですから、みなさん、寝る前は殺菌能力の高い歯磨き粉「デンタルペースト」でしっかり磨き、寝ている間も長時間持続して効いてくれるうがい薬「コンクール」で歯周ポケットの中のばい菌を効率よく殺菌しましょう!

  

ギシギシ、ガリガリ、カチカチ。これ何の音?

せんべいは10キロ、フランスパンは30キロ、そして歯ぎしりが60キロから80キロ。
これは、ものを噛むため歯にかかる重力です。

歯ぎしりにはこれだけ強い力がかかっているのですから、歯が欠けたり折れたりしても不思議でありません。また歯がぐらぐらしたり、アゴがはずれたりすることもあるそうで、歯ぎしりを軽視しているとたいへんなしっぺ返しをくらうことになります。

ところで、歯ぎしりには三つの「型」があるそうです。歯をすりあわせるギシギシ型、食いしばるガリガリ型、そしてカチカチ鳴らすカチカチ型。
ギシギシ型は虫歯のつめものが合わないことが主な原因、ガリガリ型はストレス、カチカチ型はその二つの原因が重なって発生するそうです。



この歯ぎしりが続くと、歯の根元に細かいヒビが入り冷たいものがしみる「知覚過敏」を引き起こしたり、詰め物の境目がかけて二次カリエスになったり、歯の病気の原因にもなります。
予防方法は、主に二つ。
・夜寝るときにマウスピースを上の歯にはめて、かむ筋肉をリラックスさせる。
・日中、歯と歯を合わせているときに「ハッ!」と気づいて、歯を1~2ミリ離す。(実は、起きているときは、歯はご飯を食べる時以外当たってはいけないのです!知っていましたか?なぜなら、歯に無理がかかってしまうからです。)

最近、かき氷がしみる人、一度食いしばりを疑って歯医者さんに予防で行ってみませんか?